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- 2024/04/19(金) 00:00:36|
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それはまるで宝石のようにキラキラと瞬いて、僕がたった一つ、息を吐く間にもじんわりと姿を消してしまった。鮮やかな夏の風、見上げるような緑も、身を屈める程の彩りも、爛々と輝く光の輪でさえ駆け抜けて。
──今なら君に逢える気がする。
僕をも遠いあの土地へ、運んでおくれよ、八月の風。
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久しぶりに彼女が訪ねてきた。
二人で花畑を行った。
川にも入った。
山にも登った。
もう日が落ちる夕暮れ時。
彼女の好きだったあの高い丘に立つ。
そこから見下ろす街は橙色に照らされて、とても綺麗だ。
「こんな高いところから落ちたら死んでしまうのだろうね。」
「あら、馬鹿言わないで。もう死んでるわ。」
彼女が指差す先を覗けば、岩に埋もれる空色をみた。
あぁ、なんてこと。それはまさしく彼女の。
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ああ、あの人が遠い戦地へ赴く時が、ついに来てしまったのね。
こんな夜更けに知らせに来るなんて、酷い人。
おかげで貴方の顔をいっそ伺うことができないわ。
今、泣いているのかしら。笑っているのかしら。
それとも、もうその瞳は何も写してやいないのかしら。
きっとただ挨拶に来たわけではないのね。
引き止めて欲しいのでしょう。
不安に押しつぶされそうなのでしょう。
「安心してください。」
私が応えられることは、ただ一つ。変わらない運命ならば。
「死に化粧は私が致しましょう。」
貴方の最期を彩るのが、どうか私でありますように。